第2回 Voice(後編)



録音された自分の声を初めて聞いたときの率直な感想を述べますと、
 ① げ!(驚愕)
 ② 思ってたのと全然違うぞ(衝撃)
 ③ もうちょっとマシだと思ったのにな(落胆)
 ④ なんでこんなに違うんだろ(疑問)

自分の声って、他の音と同じように耳で聞いてると思ったら大間違いなんですね。
・・・そっか。
自分の声は体の中から聞いてるんだよな。
ゆえに外から聞く声と体の中から聞く声は別モノになってしまうんだな。
ってことは”他人が聞く声”と”自分が聞く声”はギャップが有って当然ってことなんだけど。


改めて、自分の本当の声を知りたいと思いました。


今から思えば研究熱心な子供だったのかも知れません。
なんでお勉強に活かされなかったのか謎だ。(先生スマン)



 * * *



小学生ができること・・・
手始めに、朗読や寸劇などを録音することから始めてみました。

朗読はもちろん普通の声です。
滑舌悪いし発声悪いし、よくわからんけどヘッタクソだと自分でも思いました。

一方、寸劇は役によって生意気にも声色を変えてみたりするわけです。
老若男女人間だけじゃないぞ動物の声なんかも自分なりに変えてみるんですね。
そのうち”声色を変える”という感覚が面白くなってしまって、日常会話にも使って遊ぶようになりました。

声色を変えるというのは(私個人の感覚的に)どういうことなのか考えてみると、
 ① 音量を上げる・下げる
 ② 音程を上げる・下げる
 ③ 声帯を締める・緩める
 ④ 倍音を出す・出さない
 ⑤ エッジを効かせる・落とす
 ⑥ 唇の動きを変える
大体こんな感じの項目を無意識のうちに組み合わせて声を造ってるような気がします。

しばらく試すと各項目のサジ加減が分かってきて、だんだん自由に声色を変えられるようになりました。
こうして思い通りの声が録音されるようになれば、自分が出したい声と出た声がほぼ同じになったと考えても良いでしょう。

声色をコントロールすることこそ、”外と内のギャップを埋める鍵”なんだと思いました。

小学生がこんなことを考えてたんだなぁ。
あれから長~~~い月日が経ったけど、今では日常生活の中でカメレオンのように声色が変わる体質になりました。
あまりにも普通にやっているので自分でも何が何だか分かりません。
テレビや道端でいろんな動物を見かけるとつい吹き替えしそうになるし。(動物園や水族館に行ったら絶対壊れる)

そういえば寸劇にBGMを入れるためにいろんなサントラ盤を聴いていました。
小学生の分際でなかなか本格的でしょ?
音楽が持つセリフ以上のドラマティックな効果に気がついていたのか、いなかったのか・・・。



声を知りたいという欲求はその後も変わることはありませんでした。



中学では文化祭がきっかけでラジオのDJにも興味が出てしまい、音楽紹介のカセットテープを作ったりしました。

今時のFMみたいにハーイテンション!!なものではなく、N●KのFMで淡々とPOPS流してる感じ。
造らない声で普段の喋り口調・・・朗読や寸劇と違って、肩の力を抜くのが心地良かった。
この声が本来の自分のものなんだろうなと今では思っています。

このころからいろんなジャンルの音楽をたくさん聴くようになりました。
音楽紹介のための語りもいろいろ考えてたけど、今ごろになってライブでの曲紹介に活かされるっていうのもアリかな。



高校ではピアノを弾きつつ歌うようになりました。
人に聞かせたことはありません。
歌がメインなのではなく、地声発声強化訓練として自分なりに考えた練習方法でした。

私は普段とても小さな声だったらしく、面接などで何度も聞き返されて落ち込むことが多かったです。
いつもより大きな声を出そうとするとノドが痛くなるがイヤでした。
マイク通りは良かったし笑い声は大きかったのにねぇ。

POPS&ROCKの中から自分で歌いたい曲を探すようになったのはこのころでした。

歌う形式はピアノ弾き語りです。
耳コピでのピアノアレンジは小学生のころからやっていました。
楽譜読むの嫌いだったので耳コピの方が楽だったのです。
アレンジって言ってもかっこよいものじゃないんですよ。
難しげな曲でも自分に合うようにシンプルにしていくってことです。
ま、ハッタリとも言いますね。
弾けるところだけ自信満々で弾いてればそれなりに聞こえるもんなのよ。(詐欺師)

ところで皆さん、この練習方法に効果はあったと思います?
・・・結論から言うと、歌う声がデカくなっただけで話し声は小さいままでした。失敗なのね。



 * * *



声を使うことと音楽が不思議なところで繋がっちゃったな。


言い忘れてたけど、中高生の6年間は美術部ひとすじでした。(なんでやねん)
人物画を描くのに限界を感じてからは(単にヘタだった)ポートレートを撮るようになりました。

そうするとね。

話す・歌う・音楽・美術・写真・・・全部に関わってみたくなったんですよ。
地味に欲張りだったのかも知れませんけど。


一度に全部出来ることって何だろう?
なんか壮大な話になってきたなぁ。



思いついたのは映像や舞台の世界でした。



おっと、なんてことでしょう。
これぞまさにツクリモノ天国。
小学生のころ現実に目覚めるきっかけとなったツクリモノそのものじゃないですか。
俄然勝手に盛り上がってまいりました♪♪♪(振り出しに戻っただけかも)


このヒト、無鉄砲にもこっちの世界に挑戦してみることに決めました。


 ”お前ド素人やろ?”
 ”演劇部とか放送部とか経験ないやろっ??”
 ”お勉強出来んかったやろっっっ!!!(怒)”
言葉には出さねども進路指導の先生は心底呆れただろうなぁ。
卒業までドキドキさせちゃってごめんね★


家族は賛成してくれましたが、条件がありました。
 あくまでも立場は大学生になること。
 チャンスは一度限りで浪人はしないこと。
この約束を守ることで、家族は無謀な挑戦を許してくれました。ありがとう。



ホント世間知らずって怖いもの知らずだよなぁ。(しみじみ)

映像や舞台の知識なんて皆無だった人間が、子供時代の好奇心を忘れられないまま挑戦してみようと思っちゃったんだもんなぁ。

それも「女優になる!」だったら身の程知らずでも分かりやすいけど「なんかいろいろやってみたい」などと気の多いことを・・・。

声優になりたかった小学生は、夢の形を変えつつも忘れることなくこんな遠くまで来てしまいました。

あとは、前へ進むしかないのですよ。





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