All or Nothing



 『それが必然の出逢いなら運命が呼んでくれる』

いきなり何じゃ?と思われる向きもあるでしょうが、
今回は私の一番好きなシンガーとの出逢いについて熱く熱く語りたいと思います。

語りたくてたまらないのは、先日その人と会えたから。
それも手を伸ばせば触れられるほどの距離で、4時間近くも彼女の歌声に聴き惚れていました。
こんな贅沢な時間が許されていいのかと思うほど、楽しくて温かいライヴでした。



Eddi Reader という人を知っていますか?

1988年にデビューしたイギリスのバンド Fairground Attraction で歌っていた女性です。

このバンドの一番有名な曲といえば、やはり”Perfect”でしょうか。
最近は見かけなくなってしまったけどちょっと前まではカラオケに入ってるところも多くて、
目ざとく見つけては歌い倒していた私の姿をM会の皆様ならご存知かと思います。(謎)
”Allerujah”も他のミュージシャンにカヴァーされてたりするので聴いたことのある方が多いかしら。

Fairground Attraction は線香花火のようなバンドで、アルバム2枚を発表してあっさり解散してしまいました。
(私がこのバンドを知った時にはとっくに解散していましたが)

その数年後、Eddi がソロアルバムを出しました。

バンドでの雰囲気とは打って変わって、彼女の美しい歌声が前面に出ている感じ。
正直なところ初めて聴いたときはサウンドが少し物足りない気がしたのですが、
聴き込んでいくうちに彼女そのものの魅力に圧倒されてしまいました。

なんて自由なんだろう・・・ 

伸びやかで瑞々しくて茶目っ気を隠し切れない歌声は、声が美しいとか歌が上手いといった次元を超越していました。

もっと言えば彼女の歌のエネルギーは、聴くだけでなく歌ってみることで感じ取れる気がします。

”All or Nothing” という曲がとても気になって初めて歌ってみたとき(家でこっそりって程度ですが)、
自分の中の何かが明らかに変わったのを感じました。

突然、「歌いたい」という想いが湧き上がってきたのです。驚くほど強い想いでした。

この頃の自分を振り返ると、家と仕事場の往復以外は何もせず音楽からもすっかり遠ざかってしまい、
歌うことなんて忘れてしまったかのような生活を送っていたように思います。

彼女の歌から私が感じ取ったのは、自分が束縛した自分を解放するエネルギーだったのかも知れません。

(それからしばらくして私は地元のジャズバンドと出逢い『歌い続ける場所』を探し当てることになるのですが、
その話はまた別の機会にお話しすることにしましょう)



本当に縁があると、不思議な出逢い方をするもんだなぁと思うことがあります。

何気なく某CD屋さんのサイトで新譜情報を見ていて、久々に彼女の名前を見つけました。
そのころ結構忙しかったので『買いに行ってる暇は無いだろうなぁ』という予感があり、
そのまま注文してしまいました。(ついでにいろいろ買ったなんてことはナイショ)

それが届いたのが7月10日。
新しいアルバムではなくて、ロンドンでのライヴを収録したオフィシャル・ブートレッグCDでした。
厚紙のケースに、タイトルとアーティストと曲名が印刷されているステッカーが貼ってあるだけのシンプルなもの。
(ちなみにアメリカ版はCD-Rで発売されたらしいです。日本版はCDだったけど)
内容は、曲はもちろんのことMCまですべて収録されているという画期的なもので、
アーティストとしての自信が無いと企画段階で不可能だったと思われます。

簡単な解説書が入っていたので流し読みしていると、最後にこんなことが書いてありました。

 「そして、7月、彼女は日本にやってくる。」

ちょっと待て!今日は7月の何日だ?間に合うのか!?

過去に何度か来日してるけど、ことごとくタイミングが合わず悔しい思いをしていました。
今回も無理かも知れないと半ばあきらめながら公演日を検索してみたのですが。

おかげさまで間に合いました。
7月12日と13日の2日間が福岡ブルーノートでの公演だったのです。アブナカッタ。

いろいろ考えた結果、13日の2公演を通しで観ることにしました。
日本ツアーでの最終日ということもあり、入れ替えの時間を気にせず楽しみたいと思ったのです。



ライヴ当日。
私は大好きな服を着て彼女に会いに行きました。

間近で聴く彼女の歌声。歌う姿。曲の合間のおしゃべり。
どれを取っても彼女の人柄の温かさが伝わってくるような素敵なものでした。
この時が来るのをどれほど待っていたのかしら・・・。


彼女に出逢えたことで私は歌うことの喜びを知り、人生を楽しむ宝物を手に入れることが出来たのだと思います。

ちょっとだけ『運命に呼ばれた』気がしません?





Eddi Reader ライヴ・レポートはこちら(近日UP予定)