新年明けましておめでとう御座います!
2003年度、今年もなにとぞTRIUNITYをよろしく。

昨年は本来なら俺の仕事に関しては国内でじっくりとってはずだったのに春にL.A.へ、そしてこのコーナーの「第2回」を書いてから即アジアに飛ぶ事になっちまって、その関係でTRIUNITYの活動も下半期はすっかり停滞させてしまいました...。
予定では
【PINKSTRAWBERRY】に次ぐ第4段オリジナルソングを2002年内に発表するはずだったのに非常に残念。
って事もあって今年は上半期に曲造り、下半期はLIVEという具合に、どちらかというとLIVEを前提として活動して行きたいなぁなんて考えている今日この頃。

さて、前回から随分と間が空いちまったわけなんだが、今回は約束通り「マイクについて(その2)」って事で述べて行きたいと思う。
で、まずは前回のLASTで非常に大げさにコメントしちまった、
「ダイナミック型の格安マイクで、あたかもコンデンサー型で録ったと思わすようなテク(?)」について。
実はこれテクという程大げさなもんじゃなく、比較的安価で入手しやすいブツを使った手法なのよ。
そのブツとは
「マイクシミュレータ」
おーっと!!ここで決してな~んだー?と思うこと無かれ!!
確かに最近では音響機器、エフェクター類なんかでも様々なシミュレータというものがあるけど、どれも今一つだよね?
アンプシミュレータ、アコースティックシミュレータ、12St.シミュレータ...。
どれもなかなか期待通りの効果を得るには不充分なものが多かったりするもんなぁ。

ところがこのマイクシミュレータ、使い方一つで結構安いもんでも効果抜群だったりするのよ、いやまじで!
マイクシミュレータといってもまぁいろいろあって、高域を強調させて抜けを良くするものや、中低域のメリハリをグッと引きだすもの、ライン入力されたものを後加工するものなど様々。
しかも最近じゃわざわざこいつを単品でゲットしなくても、ディジタルMTR、ディジタルミキサーなんかのエフェクトに組み込まれているものも多いんだ!
代表的なところで例をあげると、VS-840EX(Roland)、AG STOMP(YAMAHA)、VF-80(FOSTEX/HD.Recorder)など。
ちなみに俺はYAMAHAのマイクシミュレータを持っているが、現在はVS-840EX内蔵のシミュレータをメインで使っている。
こいつに突っ込んでセッティングするだけで、そこら辺の安物マイクでもあのコンデンサー型マイクに変えた時のような錯覚を起こさせてくれる!
マイクシミュレータが内蔵されているMTRなんかを持っている人は是非試していただきたい!!
実際に使ってみると一目(聴)瞭然でわかるんだがこれがかなり実戦的だ!
安物マイクに通した声がとてもクリアになりメリハリもはっきりとつくようになるよ。

使い方としては、まずコンバータでどの部分に入力するのかを決め、低域カット用のフィルター、マイクと音源の距離感をシミュレートするディスタンス、声の粒状感をそろえるリミッターを調整して、後はEQで自分の好みを探していくという手法。
まずはプリセットのパターンでその効果を試して、その後でプリセットパターンを参考にしながら自分の追い求めるものに近づけて行けば良いだろう。
さらにマイクシュミレーターを通した音に空間系のエフェクターで加工してモニタアウトしてやれば雰囲気は十分だ!
実際にTRIUNITYのレコーディングでは扱いやすいダイナミック型安物マイクをつかってこの手法で録音している。
是非一度お試しあれ!


次に
マイクを使用するとき注意しておきたい点を幾つかコメントしておこう。

まずはまぁ当然の事だけど音が出ている状態で突然ケーブルを抜かない
これは機器(入力側)にダメージを与えたりスピーカーのコーンを痛めたりするので絶対ダメ!

次にマイクはたたいたり吹いたりしない
よくマイクが入っているかどうか確かめようとして、手でたたいたり息を吹きかけたりする人がいるけど(っちゅーか、もうカラオケでは100%って言って良いくらいやられちゃってるけど)、これはマイクが最も苦手とする「振動」と「風」をマイクに与えている事になる!
マイク自体の故障の原因になるだけじゃなく、同様にスピーカーを破損することもあるわけだ。
マイクチェックをするときは、必ず「声」でやりましょう。

またちょっとお高いプロ用のマイク(コンデンサ型はほとんど)にはON/OFFスイッチは無い。
カラオケマイクの感覚でスイッチを探してぐるぐる回したり、スイッチと間違えてコネクターをいきなりぶち抜いてしまわないように!

それからヴィジュアル系のヴォーカリストなんかに多いんだが、マイクの頭を手でくるむようにして使う事はやめる
これはマイクの指向性が変化して、ハウリングしやすくさせたり、音質が悪くなったりする原因になる。
ましてやスキッズのセバスチャンあたりをマネして無処理のマイクに対してマイクケーブルを持ってぶんぶん振り回したりしない事(crash!)。


歌入れ時に注意したい点としては、まずマイクに対する立ち位置、つまり距離だ。
ここで考慮しなければならないのが
近接効果だ。
近接効果とはマイクに近付くと低域が強調される現象で、これはマイクの種類によって異なる。
SM58のようなヴォーカル用ダイナミック型マイクは特性的にオンマイクでの使用を基本に考えて作られていてもともと中高域のみが上がった感じになっている。
それ故にマイクまでの距離が遠くなればなるほど、低音成分が少なくなっていわゆる「音やせ」してしまうわけだ。
特に前述の安物マイク録音をやるような場合は 近接効果を利用してやってマイクから口を5~10cm前後の近めの位置に置いて使用するのがベストだ。
一方でコンデンサ型マイクの場合は20cm~30cmが基準と言われている。
ちなみにマイクに近づくことを
「オンマイク」、マイクから離れることを「オフマイク」という。

またマイクはあまり正面から狙うとマイクに息がかかりすぎて吹きノイズが入りやすくなるのでやや下から口を狙ってやるくらいが良い。
マイク吹きの対策として
ウインドスクリーンを使うてはあるが、これもマイクとウインドスクリーン、ウインドスクリーンと口の間隔が近すぎると吹き防止の効果が出ないので注意したい。
あと、電源でしっかりアースを取ってないとマイクが近い場合ふとした時に唇がマイクに触れると漏れ電流でしびれます(crash!)!
これはとっても痛い!まぁ注意が必要なのはむしろレコーディングの時よりLIVEの時だけどね。


以上、マイクについてはこの辺にしといて、次回はヴォーカル録音時、ミックスダウン時の音造りについてなんか述べてみたいと思います。

- 第3回 END (2003.01.12) -

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