第2回:マイクについて
無事LAから戻ってきてようやく少し身辺が落ちついてきました。
いやぁ、まだアメリカは依然厳重な警戒体制だった。
しかし、その厳戒なチェックの対象は全員ではなく明らかに「怪しい!」と奴らが勝手に判断した対象だけってのが気に入らない!
その証拠に俺の同行者は通常よりもやや厳し目の荷物検査とボディーチェックを受けただけで通りぬけていたのに、俺はイミグレで荷物はフルオープンでPCも丸裸、おまけに靴まで脱がされちまった...。
そんな感じでまた新たなイミグレブラックリスターとしてネタにされている今日この頃。
そんな中、第1回がプレイヤーの人、そうでない人からも、思っていたよりなかなか好評で素直に嬉しいです!
但し前回は最初という事も有りあまり堅い話はしなかったんだが、今回はやや技術的に突っ込んだ内容になってしまうかもしれない、という事をあらかじめ断ったりしておこう。
そう言う意味ではちょっと今回はプレイヤーでない方にはやや退屈な話になるかもしれないのであしからず。
では前置きはこれくらいにして早速本題に入りましょう。
前回は「歌の録音について(その1)」って事だったんで、普通なら(その2)って事になるんだろうがまぁそんな事はその内にって事で、今回は前回のラストでチラって述べたようにマイクについてのお話です。
まずマイクってどんな仕組みなのってとこから行きますか?
本当なら図解で説明すればわかりやすいんだろうけど、図を書くのが面倒なんで(謝)簡単に言葉で説明します。
まず ① 音の発生源から出る空気に乗った音波の振動を ② マイクカプセルの中のダイヤフラムっちゅー振動板で受ける。
で、次に ③ そのダイヤフラムの言わば機械的運動(ブルブルしてる感じ)を電気信号に変える。
④ そいつを出力する事によって声(音)になって現れるっちゅ-仕組み(実に簡単な説明だな)。
このメカニズムはどんなマイクにしても同じなんだけど、マイクって色んな形のものが有るよね?
カラオケ用のマイクとかガイコツみたいなマイクとか細長~いのとか。
あれらは大きく
「ダイナミック型」、「コンデンサー型」
の2種類に分類される。
さらに言うとこれらは電気信号に変える方法の違いで分類されている。
まずみんながよく見たこと有りそうなもんでいくと、例えばmic姐のプロフィールの入り口のマイク、あれは実際彼女が所持しているマイクでヴォーカルマイクの定番とも言えるシュアーのSM-58(写真左)だ。
また俺のプロフの機材紹介のページにあるマイク、あれもシュアー製でSM-57(写真左から2番目)というモデルで、やはり楽器用マイクの定番といっても過言じゃない。
他にもよくロカビリー系のバンドでヴォーカリストがマイクスタンドぶん回してるあのガイコツマイク(写真右から2番目:あゆがMのPVでも使ってたっけ/ミーハーじゃん...)や、NHKのふる~い映像でみかける味のあるマイク(写真右)、ヘッドフォンみたいに装着して使うヘッドセット型マイクなどなど.....。
こいつらは全て「ダイナミック型マイクロホン」と呼ばれるタイプで、さっき述べた「振動板」につけられたコイルが永久磁石の中で動くことで発電し、音を電気信号に変えているタイプ。
原理としては物理で習った「電磁誘導」に近い仕組みだ!
しか~し!!
さんざん定番、定番とかぬかしておいて実は本格的に
レコーディングをする場合にはこれらの「ダイナミック型」はまず使わない!
なぜ?!
実はこれらのマイクは言わばステージ用、LIVE用の定番であって、大体が手持ちで歌う用途に合わせて設計されている物がほとんどなため、ちょっと方向や距離が変わるとそれだけで音質が大きく変わってしまうからなんだ。
これが例えばLIVEなら多少の音質の変化もその「雰囲気」みたいなもんでごまかせるんだけど、レコーディングとなるとやはりそうはいかない。
例えばヴォーカリストのちょっとした顔の動きや立ち位置のずれで毎回音質が変わっちゃうようじゃ1曲を通して聴くと気持ちよくないよね?
余談だけど、よくテレビの音楽番組なんかでジャ○ーズ系のお坊ちゃま達がめちゃくちゃ動きまくって歌ってて、そのマイクがダイナミック型ってのが良くあるんだけど、あれを見ると俺は笑っちまう!
ダイナミック型で歌ってる割には異常に安定した音質、音量、もっと言うとマイクが口からガンガンずれてても声はバッチリクリアーに(crash!)。
はい、これ
「口パク」
です!
それはさておき、レコーディングには一般的に周波数特性が広く、比較的フラットなモノが求められるんだなぁ...。
そこで登場するのが、「コンデンサー型マイク」って奴!(下写真参照)
このタイプのマイクは外部から与えた電気(電圧)をコンデンサーに蓄え、その静電容量の変化を電気信号に変えてやる仕組みになっている。
コンデンサーについては文系の人はちょっと?かもね(電化製品の基盤にはほとんどついています)。
で、さらにこのタイプは一般的に信号を増幅するための「プリアンプ」が内蔵されているものが多い。
このタイプのマイクは生音(原音)に対する追従性がよく、ダイナミックレンジも広いっていう特徴がある。
で、この
コンデンサー型マイクで録音するととたんに音が変わる!!
いや、まじで!
ヴォーカルにしても楽器にしても、こいつで録るとプロの録音したCDの音にまじで近づく!
今までダイナミックマイクで録音していた人がこのコンデンサー型にチェンジした時にこの音の変化に驚くことは少なくないはずだ。
しか~し!!
さんざん褒め称えておいてなんだが、このコンデンサーマイクには以下の様なデメリットがある。
①高価
②外部電源(ファンタム電源)を必要とする
③構造的にデリケートで、取り扱いに非常に気を配らなければならない(すぐ壊れる)
①に関しては上を見るときりが無いほどだが、最近は10万円を切るような低価格のものも出てきている。
とはいえ、やっぱ高い!
②のファンタム電源とは、電子回路を動作させるために必要な電源を外部から供給することをいい、コンデンサマイクでは通常はこのファンタム電源付きのミキサーやプリアンプが必要となる。
そいつらからマイクコードを通して直流48[V]を供給してようやく使えるわけだ。
マイクコードも2線式のいわゆるシールドは使用できず、3極のバランスコードのみしか使えない。
また電源を送った状態でコネクターを着脱なんて事させると「ズバング!!」とかってものスゲー音が出て、PAの人からぶん殴られる事は勿論、機材やスピーカーは即イチコロってこともありうるのでとても神経を使う。
③は思っているよりもマジでずっともろい!
実は俺は非常に高価なコンデンサマイクを知り合いの方から安く譲ってもらったことがあるんだが、それをたった1回のレコーディングでちょっとの油断で息の根を止めてしまった経験がある...。
つまり、俺のような
野蛮な
B型
には不向き
(だと勝手に判断する)!
っちゅ-感じでコンデンサマイクは非常に素晴らしいのだが、宅録のレベルではまず実用性に乏しいわけだ!
そこで俺がお勧めしたいのが、
めんどくさくないダイナミック型のしかも格安のマイクで、あたかもコンデンサー型で録ったと思わすような
「テク(?)」
だ!
むしろこの手の内容が言わばこのコーナーの趣旨ってとこだしね。
と、ここまで
「お!」
っと思わせておいて、やっぱ今回も長くなって疲れてしまったので、この続きは第3回で。次回その「裏技」が明らかになる!
~乞う御期待~
- 第2回 END (2002.06.21) -
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